若者が世の中のニュースに興味が持てないのは、話されている言葉が難しくて理解できないから。高校生の視点・言葉でわかりやすく伝えるだけで、もっと学んでみたい、学ぶことって楽しい!と思う若者が増えるのではないでしょうか?そんな思いを持って活動している渋谷地球防衛隊のみなさんによる本イベント。「世の中のことを知る『きっかけの種』をまいていきたい!」と力強く話す高校生のみなさんから溢れるエネルギーに、大人まで巻き込まれ、素晴らしいイベントとなりました。
続いてのテーマは「食」。イスラム教における断食のきまりやハラールについて学びました。
イスラム教における断食はダイエットが目的ではなく、
・空腹に耐えて自分の欲望を制する自己鍛錬
・食べ物があることに対しての感謝
・食べ物さえない貧しい人の気持ちを知る
ことが目的だと説明していただきました。
また、豚を食べることを禁止しているイスラム教においては、「ハラール」という独特の食文化が根付いています。
イスラム教徒の人も食べることが可能な食材には「ハラールマーク」がついており、日本でも少しずつ数が増えてきていますが、まだまだ他国に比べると少なく、それがイスラム教徒の方が日本に滞在しづらい原因になっています。
ここで、実際にハラール食品を食べてみました!
はじめて食べる「異文化の食べ物」に最初は参加者のみなさんも少しとまどった様子でしたが、食べてみるとカレー風味の味付けで「おいしい!」という声があがっていました。材料にはじゃがいも・たまねぎ・えんどう豆・れんず豆が使われているそうです。
イメージで決めつけるのではなく、五感で体感することの大切さを学びました。
続いて「イスラム文化のマナー」について寸劇をまじえたクイズを行いました。日本ではよくするジェスチャーや食事の場面でも、それがイスラム教の方々には失礼にあたることがあります。
・ゲームに勝ったとき、親指を立てる
→親指を立てることは、イスラム文化では非常に失礼な行為にあたります。
・初対面の挨拶のとき、両手を添えて握手をする
→イスラム文化では左手は「不浄の手」とされており、握手は必ず右手のみ。感謝や歓迎の気持ちを表したいときは、右手を胸にあてるポーズをとります。
・焼肉に行ったとき、豚肉を焼く
→焼肉をする際、鉄板で豚肉を一度でも焼いてしまうと、その鉄板で焼いた肉をイスラム教の方は食べることができません。
お互いを理解しあうためにも、こういったマナーの違いについてあらかじめ知っておくことはとても大切だと感じました。
次に、イスラム教の現状、海外のイスラム教徒から見た日本について学びました。
イスラム教徒の人口は16億人といわれ、世界人口の4人に一人はイスラム教徒です。そして、中東に多いイメージがありますが、実はアジアの方が多く、中東で全体の20%、アジアでは全体の60%を占めています。
イスラム教徒が多い国は次のとおりになります。
1位インドネシア
2位パキスタン
3位インド
また、日本人は固定概念でイスラム教徒のことを怖いと思っている人も少なくありません。その理由として、次のことが主な理由です。
①ごくわずかな過激派のイメージ
②日本人は他国と比べて、ムスリムと接する機会が少ない
③マスコミの報道
しかしながら渋谷地球防衛隊のみなさんが神戸のモスクを訪ねてイスラム教徒の方と接し、実際に話す中で誤解や偏見がとても多いことを痛感しました。実際のイスラム教徒の方はみなさん優しく穏やかな方ばかりだったそうです。
また、なぜ日本に来るイスラム教徒の方が少ないのかというと、
①ハラール食品が少ない
②礼拝所が少ない
ということがあげられます。イスラム教徒の方がイスラム教の掟を守りながら過ごすために必ず必要なハラール食品と礼拝所が少ないため、日本に滞在することが難しいのです。
そこで、「もしあなたが総理大臣だとしたら、イスラム教徒の方々にもっと日本に来てもらうためにはどのような公約を考えますか?」という質問を参加者のみなさんにテーブルごとに考えてもらいました。
公約を3つにまとめることができたら、各チームごとに発表!
次のような公約がうまれました!
・各市町村に礼拝所の設置
・全国のコンビニに礼拝所を設置
・礼拝所の食べログのような紹介サイトをつくる
・ハラールショップを増やす
・コンビニ・スーパーにハラール食品をおく
・ハラール対応の和食レストランをつくる
・ハラール食品会社を誘致する
・社員食堂にハラール食を入れる
・オリンピックまでに日本限定の日本人も食べやすいハラール食品を100個つくる
・英語+アラビア語表記されたハラール食品を増やす
・アルコールフリーのコスメ・アメニティをつくる
・公共交通機関の日本語表示に英語表示も加える
・お互いの言語を学ぶ
・学校で異文化について考える時間を設ける
・お互いのルールブックをつくる
・イスラム文化を味わうイスラムWEEKをつくる
・ムスリム交流サロンを設ける
・ムスリム社員雇用優遇制度をつくる
イスラム教の歴史について学び、食べ物を味わい、異文化を知る。そこから、異文化をもっと受け入れるために、「自分だったらどうするか」を考える機会は初めてで、とても新鮮でした。学ぶことで親しみを持って「異文化の方の目線に立って考える」ことがみなさんできたのではないでしょうか。
私も渋谷地球防衛隊のみなさんに「きっかけの種」をもらいました。
参加者の多くが高校生で、その中に大人の方が数人参加されていましたが、高校生のみなさんの純粋な「学ぶことは楽しい!」という姿勢と雰囲気の中、大人のみなさんもとても楽しそうでした。
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